自由診療
難病などの新しい治療法や手術法は、最初は特定の大学病院などで研究・開発が行われます。
この段階で新技術による治療を受ける場合、公的医療保険の適用は受けられず、すべて患者が自己負担しなければなりません。これを「自由診療」といいます。
また毎月健康保険料を支払っていても、国内未承認の薬や治療法を一つでも使ってしまうと、健康保険証は効力がなくなり、本人3割負担の病院負担が10割負担となるという現実があるのです。
ある程度の新治療法が実績をつみ、治療法として確立されてきたと厚生労働省が判断すると「先進医療」として承認されます。
先進医療は、新しい医療技術の出現や、医療に対するニーズの多様化に対応して、先進的な医療技術と一般の保険診療の調整を図る制度です。
DPC
DPC(Diagnosis Procedure Combination)は診断群分類と呼ばれる点数表を元に入院費を包括して支払う仕組みのことです。
もともとはアメリカのDRG(Diagnosis Related Group)やPPS(Prospective Payment System)といった病名と治療行為によって決められた金額を支払う方式を日本独自の方式に改良したものになります。
アメリカの方式では全ての行為が包括されるのに対し、DPCでは注射や画像、その他簡単な処置など基礎的な診療は入院費として包括し、手術や放射線治療など高度な技術を必要とするものは出来高として算定し、「包括+出来高」で支払う方式になっています。
入院費は病名と処置や手術などで決められ、入院日数が短いほど一日あたりの料金が高く設定されています。
そのため病院としてはできるだけ早期退院を目指し診療を行うため、結果として医療費の削減につながるというのがこのDPCの一番のねらいになります。
現在は大学病院などの高度な医療を担う一部の医療機関で採用されているだけですが、ゆくゆくは全ての病院でこの支払い方式を採用してゆくのが国の方針のようです。
統合医療とは
統合医療( Integrative Medicine )とは、何よりも、患者にとって最良の恩恵( Patients' Best Interest )を与えうる医療の可能性を目標において、今日の医療の中心となっている現代西洋医学のシステムや方法論だけでなく、それ以外の医療システム、すなわち東洋医学をも含めたさまざまな相補・代替医療( Complementary and Alternative Medicine:略してCAM )のシステムや療法を、積極的に取り入れて、統合的な治療とケアをしていこうという医療のことを指しています。
具体的にいえば、病気の診断確定や救急医療には、大いに現代西洋医学の医療と技術を活用し、一方で対症療法的なアプローチでは解決できない、生活習慣病や慢性疾患、免疫性疾患などには、大いに東洋医学も含めた、適切な相補・代替医療の知識や知恵、方法を積極的に評価し選択して活用していくということです。
米国の統合医療
米国では、すでに国立衛生研究所(NIH)に国立相補・代替医療センター(NCCAM)が設立され、110億円を超える研究予算を使って、さまざまな相補・代替医療( CAM )について科学的な研究を行なっていますし、世界的に有名なハーバード大学医学校でも、CAMと統合医療についての研究所が設立されており、海外の大学医学校とさまざまな共同研究をやっております。
また、統合医療(Integrative Medicine)という言葉の最初の発案者である、アリゾナ大学医学校教授アンドルー・ワイル博士は、すでに統合医療を診療で実践できる医師育成の教育プログラムとして、統合医療プログラムという研修プログラムを、アリゾナ大学医学校で行っています。
そのようなことがきっかけとなり、すでに全米の60%を超える大学医学校が、卒業後の課外講座として、CAMや統合医療についての講座を開いています。