精神科医療1
精神科医療を取り巻く法律には、一般科医療と同様に医療設備や医療人員等の医療提供体制を定めた医療法、保険医療を行って診療報酬を得るための健康保険法及び医療に係る専門職種を対象とした医師法等により、医療上の運用が規定されています。
精神科医療では、病識が無い患者に対する強制的入院や行動制限(身体拘束、隔離等)が必要であることから、患者の人権を擁護することが重要です。
また、治療後に重度の障害を残すことが多く、社会復帰に対する援助を行うことも必要です。そのため、精神障害者の人権、社会復帰、自立等にかかわる「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」、通称「精神保健福祉法」が定められています。
現在、厚生省が公式に使用している精神障害者数は303万人(患者調査:平成17年)で、その中には、神経症性障害、うつ病、てんかん、アルコール依存症、器質性精神障害なども含まれています。
精神科の治療法の中心は、カウンセリングと薬物療法です。
カウンセリングは本来ある程度の時間がかかるものですが、大きな総合病院はたくさんの患者をかかえているので、長い間待たされたわりに、診療時間が短い傾向があります。
精神科医療2
身体の病気については総合病院のほうが設備は整っているのですが、精神科の治療がうまいともかぎりません。町医者のほうがいい場合もあります。
精神科では、町医者にしても、総合病院の担当医にしても、残念ながら、じっくりとこちらの話に耳を傾けて聞いてくれる先生は、そんなには多くないでしょう。
その背後には、実は日本の精神医療制度のしくみがあるのです。健康保険でカバーされる範囲は非常に狭いのが実情です。
医師が行う治療として認められ、診療報酬が支払われるのは、会話(カウンセリング)としては、30分以上で90点(900円)です。30分以上は1時間かけても2時間かけても点数は変わりません。
現実的に、患者の話に根気強く耳を傾けるより、検査や投薬をしたほうが儲かるのです。
探せば、心療内科でも臨床心理士やカウンセラーを置いているところもあるようですが、全体からみたら少数派でしょう。 彼らを雇っても、容易に採算がとれないからです。
他人の話を丁寧に聞くのはたいへんエネルギーが要ることですし、お金にもならないから、5分とか10分で、診察して薬を処方して終わり、はい次の人、という形になってしまうのも、しかたないことだと思います。また、投薬のために病名をつけるという事実も残念ながらあるようです。